2型糖尿病の食事療法の重要ポイントと見落としがちな注意点
2型糖尿病の治療は、食事療法が一番重要と言われています。
「食事療法」というと厳しい食事制限が必要なのかと身構えてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、重要なポイントさえ押さえれば、特別、厳しい食事制限をする必要はありません。
今回は2型糖尿病の食事療法の中でも、特に押さえておきたい重要なポイントと、見落としがちな注意点について、ご紹介します。
この記事の目次
2型糖尿病の食事療法の基本は普通の食事を基準に血糖値管理をすること
「糖尿病のわかりやすい説明なら糖尿病3分間ラーニングがおすすめ!」という記事でご紹介しました「糖尿病3分間ラーニング」には、糖尿病の食事療法の基本的なポイントについて、わかりやすく説明されている動画もあります。
それによると、糖尿病の治療の目的は、健康な人と変わらない生活をすることなので、食事療法についても、特別なことをするのではなく、普通の食事を基準にして、少しの工夫で良好な血糖値コントロールをするのがベストだそうです。
2型糖尿病の治療は食事療法が重要だからといって、極端な食事制限をしてしまうと、一時的に血糖値が下がったとしても長続きしないケースが多いようです。
実際に、2型糖尿病の方で、教育入院中は食事指導によって血糖値は下がったけど、退院後に元の食生活に戻ってしまうという方もいらっしゃいます。
退院後に、以前よりも血糖値が上がって、再度、教育入院をするということを繰り返す方もいらっしゃるようです。
2型糖尿病の食事療法の基本的な考え方のポイント
「糖尿病3分間ラーニング」によると、2型糖尿病の方の食事療法で一番重要な基本ポイントは2点です
- 過不足のない適切なカロリーを摂る
- 必要な栄養素をバランスよく摂る
当たり前のことですが、実際に自分の食生活を振り返ってみると、できていないという方も多いのではないでしょうか?
ほとんどの現代人は、必要な栄養素が不足しているとも言われています。
2型糖尿病の食事療法の最重要ポイント3点
「糖尿病3分間ラーニング」のこちらの動画では、管理栄養士さんから、具体的な食事療法のポイントについて、解説されています。
この中でも特に重要な食事療法のポイントは以下の3点だと思います。
- よーく噛んで食べること
- 朝食は欠かさず食べること
- 夕食は8時までに食べること
この3点について、順番に解説します。
2型糖尿病の食事療法の重要ポイント(1)よーく噛んで食べること
この動画の中で、最初に紹介されている「食事を腹八分に抑える」というのは、実際にやろうとすると、なかなか難しいのですが、よーく噛んで、時間をかけて食事をすることによって、自然と食事量を抑えることができます。
よーく噛むというのは、「MEC食は糖尿病改善に効果あり!?重度の2型糖尿病が治った例も!」という記事でご紹介しましたMEC食でも推奨されています。
時間をかけてよく噛んで食べることが、食事誘導性熱産生やグルコース代謝に影響し、食後の高血糖を防ぐことは医学的な研究でも確認されています。
MEC食で推奨されているように、一口ごとに、はしを置いて、30回噛むということをぜひ試してみてください。
あごが疲れる感覚があるくらいがちょうどいいと思います。
2型糖尿病の食事療法の重要ポイント(2)朝食は欠かさず食べること
また、「糖尿病なら朝食抜きはNG!セカンドミール効果による血糖値への影響」でもご紹介したとおり、朝食は1日の血糖コントロールにおいて、とても重要な役割を果たすので、欠かさないようにしましょう。
具体的なおすすめの朝食メニューや血糖値の上昇を緩やかにする工夫などにつきましては、「【糖尿病の朝食メニュー】簡単朝ごはんで血糖値改善!(和食・洋食別)」という記事で、ご紹介しています。
ちょっとした工夫で、血糖値の上昇を緩やかに抑えることができるので、ぜひ試していただけたらと思います。
2型糖尿病の食事療法の重要ポイント(3)夕食は8時までに食べること
「糖尿病3分間ラーニング」の動画では「夜8時までに食べること」とされていましたが、夜8時までに食べ終わるのは無理という方もいらっしゃるかと思います。
8時までに食べ終わるのが無理な場合は、寝る3時間前、最低でも2時間前までに食べ終わるようにしましょう。
夜寝る前に食事をして、血糖値が高いまま寝てしまうと、就寝中や翌朝の血糖値に悪影響を及すので、寝る直前の食事は避けましょう。
また、寝る直前に食事をすると睡眠の質にも影響がありますし、余分な糖質が脂肪になりやすく、肥満の原因にもつながります。
2型糖尿病の食事療法の見落としがちな注意点
「糖尿病3分間ラーニング」の動画で紹介されていた中で、一番、見落としがちな注意点は「塩分を控えめに」、「アルコールを控えめに」という点ではないでしょうか?
血糖値とは直接関係ないのですが、糖尿病の食事療法の注意点としては重要なこの2点について、解説します。
2型糖尿病の食事療法の見落としがちな注意点(1)塩分を控えめに
塩分は血糖値に直接影響を与えるわけではないということもあり、糖尿病の食事療法の中では、見落とされがちです。
塩分は血糖値とは直接関係ありませんが、糖尿病の方に多いと言われる高血圧とは関係があるとされています。
そして、高血圧は、糖尿病の合併症のリスクを高めます。
糖尿病の治療で一番大切なことは、合併症を発症しないようにすることです。
合併症予防のために塩分を控えることが重要と認識して、できるだけ薄い味付けにするように心がけましょう。
2型糖尿病の食事療法の見落としがちな注意点(2)アルコールを控えめに
アルコールも、それ自体には血糖値を上昇させる作用はありません。
ですが、糖尿病の方は低血糖を引き起こす場合もあるので、注意が必要です。
特に空腹時にお酒を飲むと、低血糖になる場合があるので、気をつけましょう。
また、インスリン注射や血糖降下薬などによる薬物治療を行っている場合は、より低血糖を起こしやすくなります。
アルコールは適量であれば、基本的には糖尿病の方でも飲んでも問題ないとされています。
ただし、服用している薬や糖尿病の進行具合によってはアルコールを控えなければならない場合もありますので、担当の医師と相談することをおすすめします。
2型糖尿病の食事療法の重要ポイントと見落としがちな注意点まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は2型糖尿病の食事療法の中でも、特に押さえておきたい重要なポイントと、見落としがちな注意点について、ご紹介しました。
糖尿病の食事療法で一番大切なポイントは
- 朝食をしっかり食べること
- 夕食は寝る3時間前までに済ませること
- よーく噛んで食べること
だと思います。
また、見落とされがちな、塩分の摂りすぎ、アルコールの摂りすぎにも注意しましょう。
ADA(米国糖尿病学会)が2013年に発表した糖尿病の患者向けの食事療法ガイドライン「Nutrition Therapy Recommendations」では、
個人の好み、文化背景、生活習慣、治療目標など、糖尿病患者の背景はさまざまなので、個々の患者に合わせて食事指導を行うべき
患者自身が積極的に自己管理や教育に関わり、食生活の見直しを含む治療プランに医療者と共同で取り組むことが重要
ということが強調されています。
自分の大好物をあきらめたり、無理な食事制限をするのではなく、自分が無理なく続けられて、血糖値の上昇を抑えることができる食事療法を自分自身で積極的に探していこうという気持ちが大切だと思います。