目がかすむ、見えづらいのは糖尿病網膜症(糖尿病の合併症)の症状かも?
糖尿病と診断されている方で、目がかすむ、目が見えづらい、視界の中に黒い点やゴミのようなものが見えるという症状が出ている方は、糖尿病の三大合併症の一つ、糖尿病網膜症が進行している可能性が高いです。
今回は、糖尿病の三大合併症の中でも特に恐ろしいと言われている糖尿病網膜症の症状、原因、治療、予防法などについて、まとめてみました。
この記事の目次
症状がないまま進行してしまう糖尿病膜網膜症
糖尿病は自覚症状がほとんどなく、症状に気づいた時には既にかなり病気が進行していることから「サイレントキラー」と呼ばれています。
糖尿病網膜症も、同様に、ほとんど自覚症状がないまま進行します。
そのため、治療を後回しにして、失明してしまう人が後を絶ちません。
健康診断などで、糖尿病と診断されたら、必ず定期的に眼科の検診を受けましょう。
「特に視力も落ちていないし、問題ない」と油断していると、取り返しのつかないことになる場合もあるので、注意が必要です。
糖尿病膜網膜症は成人の失明原因の第2位
糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の一つでもあり、糖尿病の患者の約40%が発症するというデータもあります。
また、糖尿病を放置すると、5~10年程度で糖尿病網膜症になりやすいと言われています。
特に、40代、50代の糖尿病の方は進行が早い傾向にあるため、注意が必要です。
少しぐらい血糖値が高くても、特に体に不調はないし、治療はいいかなと放置していた結果、糖尿病網膜症になって、失明してしまうことも多いのです。
糖尿病網膜症は成人を過ぎてからの失明原因の第2位で、全体の15.6%を占めているというデータもあります。
(網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究:平成24年度 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業)
糖尿病網膜症の症状
目がかすむ、見えづらいのは糖尿病網膜症の症状、視力低下の可能性が高い
糖尿病網膜症になると、網膜が傷つくために、徐々に視力が低下します。
糖尿病と診断された方で、目がかすむ、以前よりも見えづらくなってきたなどの自覚症状が出た場合、糖尿病網膜症による視力低下の可能性が高いです。
飛蚊症も糖尿病網膜症の症状の一つ
また、黒い点、虫、ゴミ、糸くず、薄い影のようなものなどが見えるという症状があるという場合も、糖尿病網膜症の可能性が高いです。
このような症状は、視界に虫のようなものが飛んでいるように見えることから、飛蚊症(ひぶんしょう)と呼ばれています。
特に空を見上げたり、明るい場所を見た時に、この症状を感じることが多いようです。
糖尿病網膜症は無症状で進行する場合も
飛蚊症、目のかすみ、視力低下などの自覚症状がある場合もありますが、まったく自覚症状がないまま糖尿病網膜症が進行してしまう場合もあります。
糖尿病網膜症は、早期発見して、厳格な血糖値コントロールをすることで、改善が可能です。
自覚症状がないまま進行するので、早期発見のためには定期的な眼科検診がとても大切です。
糖尿病網膜症の原因と治療法
糖尿病網膜症の原因
糖尿病と目の病気は、一見、関係がなさそうに思えますが、なぜ糖尿病が網膜症の原因となるのでしょうか?
糖尿病網膜症とは、ものを見るために非常に重要な、目の奥にある網膜という組織が、糖尿病により傷つけられる病気です。
糖尿病になると、血糖値が高い状態が続き、血管に負担を与えます。
網膜は、細かい血管が密集しているため、高血糖によるダメージを非常に受けやすいのです。
糖尿病網膜症の進行と症状
糖尿病網膜症は次のような段階を経て、進行します。
ほとんどのケースでは、自覚症状がないまま、失明の手前まで進行してしまうので、定期検査がとても重要です。
- 単純網膜症:網膜症の最初の段階で、網膜内の血流が悪くなり始めます。
【症状】この段階ではほとんどの場合、無症状と言われています。
↓ - 増殖前網膜症:血管が詰まって、網膜の一部に血液が流れていない部分が生じます。
【症状】目がかすむなどの自覚症状がある場合もありますが、自覚症状が現れない場合が多いです。
↓ - 増殖網膜症:網膜の血流を補おうとして新生血管が伸びてきます。新生血管は非常にもろいため、破れて出血を起こすことがあります。
【症状】目が見えづらくなるなど視力低下の症状が現れる場合もありますが、無症状の場合もあります。
↓ - 眼球内部の出血・網膜剥離:新生血管が破れて眼球内部に出血が広がったり、網膜が剥がれたりします。
【症状】視力が著しく低下したり、最悪の場合は失明に至ります。
糖尿病網膜症の原因・症状のわかりやすい説明動画
「糖尿病のわかりやすい説明なら糖尿病3分間ラーニングがおすすめ!」という記事でもご紹介しました「糖尿病3分間ラーニング」には、糖尿病網膜症に関するわかりやすい動画もあります。
3分で見れて、説明もわかりやすいので、ぜひチェックしてみてください。
糖尿病網膜症の治療法
糖尿病網膜症の治療で改善が期待できるのは早期発見できたケースのみ
糖尿病網膜症は、初期の単純網膜症で発見できれば、血糖値コントロールなどで改善が期待できます。
ただし、この段階を過ぎてしまうと、治療しても元の網膜の状態には戻らないことが多いようです。
単純網膜症では、自覚症状が現れないため、定期的な眼科検査が非常に重要となります。
単純網膜症以降の治療としてレーザー光凝固が行われることも
単純網膜症以降の治療の目的は、現状の視力を維持すること、これ以上の網膜症の進行を防ぐことになります。
そのために、レーザー光凝固と呼ばれる手術が行われることもあります。
レーザー光凝固とは、新生血管が伸びてくるのを事前に防ぐために、網膜の虚血部分にレーザー光をあて、熱で凝固するという手術です。
レーザー光凝固は、受ける時期が早いほど効果が高いと言われています。
糖尿病網膜症の早期発見と予防のためには?
糖尿病網膜症は、定期的な眼科の検査を受け、糖尿病と眼科の適切な治療を続けていれば、防ぐことが可能と言われています。
血糖コントロールをきちんと行い、目に異常がなくても、定期的に眼科の検診を受けるようにしましょう。
また、糖尿病網膜症は、脂質異常症や高血圧との関係があるとされていますので、脂肪分や塩分の摂りすぎにも注意しましょう。
糖尿病だけでなく、脂質異常症や高血圧の関与も指摘されています。これらの生活習慣病全般について、予防に努めることが必要です。
目がかすむ、見えづらいという症状で気づく場合もある糖尿病網膜症まとめ
今回は、糖尿病の三大合併症の中でも特に恐ろしいと言われている糖尿病網膜症の症状、原因、治療、予防法などについて、まとめてみました。
糖尿病と診断された方で、目がかすむ、目が見えづらい、黒い点やゴミのようなものが見えるという症状が出ているという方は糖尿病網膜症の可能性があるので、できるだけ早く眼科を受診することをおすすめします。