糖尿病のウォーキングの効果を高める『インターバル速歩』とは?
糖尿病の運動療法として、医者からウォーキングを勧められたので、頑張っているという方も多いのではないでしょうか?
今回は、ウォーキングの効果を格段にアップするということで注目を浴びている『インターバル速歩』という歩き方をご紹介します。
この記事の目次
ウォーキングの糖尿病改善効果を格段にアップ『インターバル速歩』とは?
『インターバル速歩』は、信州大学大学院医学系研究科、スポーツ医科学講座の能勢博先生が開発したウォーキング法です。
「ややキツい」と感じるぐらいの速い速度で3分間ウォーキングを続けた後、普通の速さで3分間ウォーキングを続けるというのを繰り返します。
能勢博先生がこの『インターバル速歩』を中高年者を対象に指導したところ、開始から5か月目には、筋力、持久力が最大20%向上し、高血糖、高血圧、肥満の方の割合が20%も減少したそうです。
最近では、海外での『インターバル速歩』の研究も進んでいます。
デンマークのコペンハーゲン大学保健科学部のKristian Karstoft氏らが、2013年に発表した2型糖尿病患者を対象とした研究では、週5回、1回60分のインターバル速歩を4か月間行ったところ、空腹時血糖値が平均で14.4mg/dL、最高で50.4mg/dLも低くなり、体重は平均4㎏減、内臓脂肪も低下するという結果になりました。
また糖負荷試験でも、血中ブドウ糖減少率の向上と筋肉のインスリン感受性の改善が認められたそうです。
この研究では、週5回、1回60分の通常のウォーキング(中速度)を同様に4か月間行ったグループもありましたが、そのグループでは、インターバル速歩を行ったグループのような空腹時血糖値の低下、血中ブドウ糖減少率の向上、筋肉のインスリン感受性の改善はみられなかったとのことです。
『インターバル速歩』でのみ糖尿病の改善効果が認められた理由
なぜ、空腹時血糖値の低下、血中ブドウ糖減少率の向上、筋肉のインスリン感受性の改善などの効果は、中速度のウォーキングではみられずに、『インターバル速歩』のみで認められたのでしょうか?
それは、2型糖尿病の発症と大きな関係があるとされているGLUT4(グルット4)というたんぱく質と関連があります。
GLUT4はインスリンに応答して血糖値を保つために重要な役割を果たすたんぱく質で「ブドウ糖の運び屋」とも言われています。
『インターバル速歩』の速歩、つまり高強度の運動により、筋肉に蓄えられているブドウ糖が使われるため、それを補うために筋肉のインスリン感受性が高まり、インスリンが働くことによって、GLUT4(グルット4)というたんぱく質が増えます。
インスリンの刺激のない状態では、GLUT4は筋肉細胞の中にありますが、インスリンの働きで筋肉の膜の表面に移動し、血液中のブドウ糖を筋肉内に取り込んでくれるのです。
高強度の運動により、インスリンが働くことによって、GLUT4が活性化され、空腹時血糖値の低下、血中ブドウ糖減少率の向上、筋肉のインスリン感受性の改善などの結果につながったのではないかと考えられます。
糖尿病の改善効果が示された『インターバル速歩』のやり方
せっかくウォーキングするなら、研究で血糖値の低下や血中ブドウ糖減少率の向上が示された『インターバル速歩』を取り入れたいですよね!
『インターバル速歩』のやりかたはとても簡単です。
- 「ややキツい」と感じるぐらいの速歩きを3分間(最大体力の70%程度)
- 散歩程度のラクな速度のウォーキングを3分間(最大体力の40%程度)
これを交互に繰り返して、5セット(30分)行うだけです。
速歩きの時は以下のことを意識して行うことがポイントです。
- 肩の力を抜く
- 背筋を伸ばして、視線は25mくら先を見る
- 腕を大きく後ろに引く
- 大股で歩き、かかとから着地する
効果を出すためにも正しい姿勢を守るようにしましょう。
速歩きは3分間が理想ですが、きついようでしたら、最初は2分間でもOKだそうです。
ウォーキングの糖尿病改善効果を格段にアップ『インターバル速歩』まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、ウォーキングの効果を格段にアップするということで注目を浴びている『インターバル速歩』という歩き方をご紹介しまた。
『インターバル速歩』にトライしてみたいという方は、週4日間を目標に頑張ってみましょう!
『インターバル速歩』について、もっと詳しく知りたいという方には『インターバル速歩』の開発者である能勢博先生のこちらの書籍がおすすめです。
「歩き方を変える」だけで10歳若返る 世界が注目する「インターバル速歩」の簡単な始め方」(主婦と生活社、能勢博著)